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マイコの漫画のブログ

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+ヤタカとピリカの出

+ヤタカとピリカの出会い+


男達が狩にいっている最中の時だった。
「きゃー!シュマが!」
シュマが川で遊んでいて、濁流に呑まれた。
ピリカは助けを呼ぼうとしたが、男手はいなかった。
だが、偶然通りかかった男がひとり急いで川に飛び込んだ。
濁流の中必死にシュマを助け、下流の岸の方まで流されたが川岸までシュマをかばいながら無事泳ぎついた。

ピリカは愛しいわが子が心配で、無我夢中で下流の方まで走る。
岸からあがった男の体は濁流と一緒に流れてきた石でぶつけたらしく傷だらけだったが自分のことより、シュマが飲み込んだ水を上手にはかせて、息をふきかえさせている。
ピリカはシュマが無事だったことに喜び、すぐさま、わが子をぎゅっと抱き締めた。
「くるしぃよ…おかたん…それと…ありがと…」
シュマは母の肩ごしから助けてくれた礼を男見つめながら礼をいう。
幼い息子が自分よりお礼を言い母として、恥ずかしく急いで
「ありがとうシュマを助けてくれて……あ!」
助けてくれた男を振り向き礼をいうが
ピリカは一瞬驚いた。
その男はヒメカからきたヤタカという男だったからだ。
 
「この子が無事で良かったよ。もうお母さんを心配させるなよ」
「うん!」
シュマは目をキラキラさせながら元気よ首を縦にふる。
その頭をヤタカは優しく撫でる。
もうひとりヤタカを凝視して、固まっているピリカにも微笑み、そのまま去ろうとするヤタカをピリカは腕を掴んで呼び止めた。
「あの!シュマをどうして助けてくれたの!」
ヒメカの民は腹黒く悪いやつだ!アテルイは許すといっていたけれど、シクイルケの命を奪ったヒメカなど絶対にゆるせなかったし、ヒメカの民は悪い心の持ち主だと思い込んでいた。
だから、ヤタカが勇敢にもシュマを助けてくれたことが信じられなかった。
ヤタカはきょとんとした顔だったが、ピリカのいった言葉を理解して
「人として、人を助けるのは当たり前のことだよ。ムラの人たちもそうだろう?ヒメカの者たちだって同じ気持ちだ。人間なのだから」
にっこり笑って、そう答えた。
その笑顔がとても優しくてドキンとピリカの胸がなった。
(こんな良い人を私は疑ってしまったのね…)
疑った自分を恥じた。助けてくれた人なのに…
そんなピリカのようすにヤタカは
「疑われる当然なことをしてきたのだからしかたないけどね…」
(また、この人は…)
人の心を読むのがうまい人だとピリカは思った…

アテルイが言ったことを思い出す。
ヒメカが皆悪いと思うのは良くないと…
確かにそうだった。
村にきた四人。
ワカヒコ、ユツ、ホムタ、ヤタカたちはクニを追われて、ムラにきた。
はじめは、掘りが浅くて変な顔だと思った。
みんな同じに見えた。
だけど、違うふうに思えてきた。
特にヤタカのことが…

ヤタカは目が細い。
村の人にくらべればだけど、その細い目には優しい雰囲気がうかがえる。
そして、何より人の心のわかる人だ。
私が思っていることが私の考えていること全て見すかされている気がする。
だからといって、悪い感じはしない。
人の心を汲むことができる。
ヒメカの民には心がないと思い込んでいた。
だけど違うらしい。
ワカヒコやユツも優しい、人の心が分かるいい子だ。
ただし、ホムタはそうは思えないけど……
ヤタカはどうして、村の言葉がしゃべれるんだろう。
この頃ヤタカの事だけを考えている。
ユツはタマメや女ヤドに住む女達に言葉を教わって、ワカヒコはポイシュマやヤド仲間に言葉を教わっている。
ホムタはしばらくヤタカに言葉を教わっていたが大体喋れるようになると、ムラの女の子たちと話をかわし言葉をもっとおぼえている。
ヤタカはムラの男達と狩りにいったり、ワカヒコやホムタに呼ばれればすぐに駆け付ける。
クニの言葉は分からないけど、命令されている。
ポイシュマのつれている、狼のセタのように命令を聞いている。
いや、それ以上に従順…
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シュマは命の恩人のヤタカを見つけるとヤタカに抱き着いてじゃれる。
シュマにとってヤタカは命の恩人でもあり自分の英雄なのだ。
そんなシュマを微笑みながら、ヤタカにピリカは挨拶をすると微笑んでヤタカも挨拶をしてくれる。
初めは挨拶だけの付き合いだったが、近ごろは色々話をするようになった。
そしてヤタカの昔を聞くことができた。
キンヌコロのムラで一年半も暮らしていたことや、このムラまでくるまでのいきさつを…
今日はホムタやワカヒコの命令をきいてるヤタカに疑問を問う。
身分制度があるのは前に聞いたことはあったけどその身分制度がふに落ちなかった。
「どうして、そんなに人の命令を聞くの?あなたは自分の意志がないの?」
いきなりそんなことを言われて少し戸惑ったヤタカはシュマを肩にのせてやりながら、ピリカの問いに答える。
「オレはヤツコという奴隷の身だから…身分の高い方の命令に従うのは当然のことなんだ…」
「変なの。それじゃ犬と同じじゃない。」
犬と同じといわれてヤタカは苦笑した。その通りだと思ったからだ。
「ひとりの男として、自分の意見をとうさなきゃダメよ。」
子供にダメなことを注意する母親のように言うピリカにふと微笑む。
「だけどやはり、ホムタさまやワカヒコ様にはそのようにはやはり振るまえない…だが、村にいる間はそうすることに勤めてみるよ」
「そうするべきよ!ムラ住んでいるんだから村の男として!」
自分の説得に頷いてくれたヤタカを励ますようにいったが、聞きづてならないことも聞いた。
「…ってムラにいる間って…ヤタカ…クニに帰る気なの?」
いぶかし気な顔をして声のトーンをさっきより落として問う。
「いつかはそうなる…かも知れない…」
ヤタカは遠い空を見上げるようにいった。
そんなヤタカを呆然とみつめた。
「………」
ピリカは黙った。
なんて、いったらいいのか言葉が続かなかった。
ヤタカはそんなピリカにいつのまにか視線を移していたが、肩にのせているシュマはヤタカの肩車が動かなくなったことを不服に思い、頭をたたく。
その意を感じ、ヤタカは膝を曲げてやる。するとシュマは無邪気にはしゃいでキャッキャと喜んでいる。
そうしていると、本当の親子みたいだとおもった。
そして、幸せだとも……だけどクニに帰るなら、こんな幸せな風景はみられない……
ピリカはなぜかとても悲しくなった。

ヤタカはいずれクニに帰るそれは知っていた。
ヒメカからきた彼等はいつかクニに返るつもりでいることを…
だけど、ヤタカがいなくなると思っただけで悲しく思った。
夫が死んだ時より、切なく思う。
死んでしまったなら諦めがつく。
だけど、生きているのに会えないというのは切ない…
(どうして?どうして切ないの?ヤタカがいなくなると思うだけで…)
自分はヤタカが好きだという事に気付かないでいた。
だけど、クニに帰ると知って、その気持ちに気付いた。
(私はヤタカが好き…あの人のことが…ヒメカのヤタカが好き…ヤタカはどう思っているんだろう…)
「ヤ…タカ…」
胸に抱いていたシュマが寝言でヤタカの名前を呟いた。
その顔は微笑んでいる。
そんなシュマをギュッと抱き締める。


ピリカはホムタを呼び止めた。
ホムタはなぜか、ぶ然としていたが気にはしないで話しをきりだした。
「お願い!もし、クニに帰る時はヤタカを連れていかないで!」
必死に訴えるピリカにホムタは何のことだと一瞬思ったが、その意味が理解できた。
この女はヤタカのことが好きなのだ。
だから、こんなにまで必死に訴える。
ホムタは意地悪く。
「どうしてだ?おれたちはヒメカの民でいずれは帰って政をただすつもりだ。そのためにヤタカが必要だ。」
別に政を正すのに必要でもないが、頭の良い奴はめったにいない。
「わたしもヤタカが必要なの!」
「お前達は結婚する気なのか?」
「そ…それは…」
言い淀んだピリカの態度に、まだこの二人はそう言う仲でも無さそうだと思ったホムタは意地悪なことを考えた。
「ヤタカはクニに好きな女がいるんだよ。」
「え……」
それは初耳だった。
胸がぎゅっと締め付けられる。
「クニにはヤタカの女が待っている。それも一人じゃない、何人もヤタカの帰りを待っている女がいる。ヤタカはああ見えても女たらしで……ヤタカはとても優しいだろう?その優しさにほだされて女がたくさんヤタカの帰りを待っている。ヤタカもクニに帰りたいのさ…」
ニヤニヤと、いやらしい感じの笑い顔でピリカの反応をたのしんでいた。
ピリカはホムタの言葉を本気にしたわけではないけれど、優しいヤタカをすきなる女は沢山いるかも知れない…ピリカもそのうちの一人だ。
「ヤ、ヤタカはそんな人じゃないわ!」
「それはどうだか」
フンと人をばかにしたように笑いピリカを見下した。
ピリカは不安と怒りが混じった感情をむねに宿しながら、ホムタのことを睨んでフイっと顔を背け走ってその場から離れた。
ホムタはそんなピリカが去った後お腹を抱えてわらっていたが、ふと、自分とヒナのことを思い出し。笑いを止めた。
「ホムタさんこんなところにいたの?」
ホムタをみつけたマカニは笑い転げていたのに、真剣なまなざしになったホムタに一瞬首をかしげて駆け寄った。
マカニはピリカとホムタの話しの内容は聞いていなかったがホムタの様子が変なのに気付いて声をかけてきたのだ。
「どうかしたの?ピリカとなにかあったの?」
「ああ、マカニなんでもないよ。君をまっていたんだ……」
とホムタは答え、マカニの顔を見ると微笑んだ。

ヤタカは村の女達の手伝いをしていた。
タマメに頼まれて、薪を拾って届けにきたのだ。
ヤタカの周りに女達が群がっていた。
ムラの男達と違って、ひよわな感じのする、ヒメカの民のヤタカは外見より力があった。
人一倍荷物を運ぶヤタカの手伝いとしようとして、女の子たちが群がっているのだ。
なぜ、ヒメカのヤタカに近付くかというと、ぶこつな顔のおおいムラの男より綺麗な顔をしているヤタカを好きな女は村にも増えていた…
そんなヤタカを見て怒りが湧いた。それは嫉妬の怒りだった。
だけど、ホムタの言葉を思い出し騙されたのだと思いの怒りだと思っていった。
「ヤタカさんって女たらしって本当だったのね!」
と怒鳴った。
ヤタカはピリカの怒鳴り声に吃驚した。周りにいた女の子達もヤタカと同じ表情だ。
「クニにも女がいるって嘘じゃないのね……きっと……やっぱりあなたは…ヒメカの民よ!」
「何いってるのよピリカ。」
ヤタカのことがすきな女の子はヤタカを貶されたきがして、ピリカを睨んだ。
「そうよ!どうしたのよ、ピリカ変よ?」
女ヤドに住む仲間にもいわれる。
そういわれて、ハッとして、恥ずかしくなって、その場を駆け出していった。
目には涙がこぼれていた。
気付かずに泣いていた。
そんなピリカに気付いたやたかは、薪をその場に置いてピリカを追い掛ける。
そして腕を掴んで引き止める。
「はなしてったら!」
思いっきり腕をふってヤタカの腕を振りほどいたが、ヤタカはまたピリカの腕を掴んだ。今度は両手を掴んで自分の方に向かせた。
「どうして泣いているんだ?ピリカ」
声は戸惑っている様だが、とても優しい響き。
そんなヤタカに腹が立った。その優しさが女の敵だと思った。
「あなたが、ひどい男だから!はやくクニに帰れば!」
「ひどい男?それはいったいどういうことだ?」
きょとんとしている。そんな悪気の無さそうなヤタカに泣きながらピリカは言った。それは悲鳴にも似た感じに訴えた。
「ホムタから聞いたの!あなたはクニに沢山女がいてあなたの帰りを待ってるって!」
「は?それって…」
ヤタカは合点がいったといった表情になった。
ホムタがどうしてか、ピリカにヤタカが悪い男のようにいったのだなと。
そのヤタカの表情にピリカは誤解した。
「やっぱりホムタのいった通りなのね…早く一人でもクニにかえってあげれば!」
「ちがう!オレに女はいない!クニにはいない!それはホムタ様の嘘だ!」
「え…?ウソ…?」
「ああ…全くの完璧の嘘だ!全くあの人は!くだらない嘘をついてピリカを惑わせるなんて!やっぱり酷いひとだ!」
ホムタに対して怒りをあらわにしているヤタカは初めて見た。
いつもは仕方ないといったように苦笑いをしているだけのヤタカなのに。
ジっと無言のまま見つめているピリカに気付いて、ヤタカは言い聞かせるように真剣にピリカを見つめて言う。
「おれは…おれは君が…ピリカが好きなんだ!どんな人より、ピリカきみが好きだ… 」
そういった、ヤタカの顔は真っ赤だった。
「ヤタカ…」
ピリカも顔が赤くなるのを感じてヤタカを凝視する。
その視線をさけるように横を向き
「だけど、君は夫をなくしたばかりでこんなことを言えないと思って、ずっと隠していようと思っていた…言わなけれればすむことだと思ったから…」
「ヤタカ……」
とても心がみたされた…その言葉で怒りや嫉妬は洗い流された…
ぎゅっとヤタカを抱き締める。
「ヤタカさん…わたしもあんたが好き!ヒメカの民のあなたがすき!優しいあなたが好き!」
抱き締めるてくるピリカにやタカも抱き締め、口付けをした。
「結婚して…ムラの男になって私の夫になって…シュマの父親になって…」
「ああ…そうする…二人を幸せにする…」
いっそうきつく出しきめるところに
「かあたん!ヤタカ!」

シュマが幼い足取りで一生懸命かけてきて二人の抱き締めあっている中に割りこんできた。
うしろからタマメがシュマをおってきた。
「おーおーまたヤドからいなくなっちゃうのかね~…うらやましいね~」
冷やかすふうに歓迎するようにいう。
影ながら二人の様子をタマメはシュマをつれて見ていたのだ。
ヤタカとピリカは顔が赤くなった。
「ヤタカ!ヤタカ!肩車!肩車!」
ズボンを引っ張り肩車を要求するシュマを要求どうりに肩にのせてやる。
「シュマ、今日からおれはお前の父さんだよ」
「おとうしゃん?」
ヤタカの頭に手をやり顔を覗くとニパっと笑って
「おとうしゃん!」
と嬉しそうに呼んだ。

こうして、ヤタカとピリカは夫婦になりシュマにも父親ができて幸せな結婚生活がはじまる。
運命の輪がゆっくりとまわる平和な日々の出来事の事だった。

な~んてものを考えて書いてしまいました……誤字脱字おおいのがはずかしいです。
ちょくちょく気がついたらなおしているのですが。
なんだか、この二人のものがたりがかきたかったのです。
大好きなのでv




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